株式会社西武ホールディングス

高度な契約が増える中で、過去文書の検索性を高めナレッジとして有効活用!体裁補正などの単純作業も効率化

INTERVIEWEE

内海 拓人様、高瀬 夏美様

管理部法務担当

西武鉄道、西武・プリンスホテルズワールドワイド、西武リアルティソリューションズをはじめ、西武グループ各社を統括する株式会社西武ホールディングス。

新規事業の計画がこれまで以上に増加しており、契約書のドラフティングをゼロベースから行うケースも増えている中、契約書の体裁の細かな修正など本質的ではない作業に時間を取られていたこと、また、部署の人員増強を図る状況で、どのように契約書レビューに関するナレッジを蓄積、共有していくのかが課題となっていました。 これらの課題を解決する方法としてどのようにLAWGUEを活用されているのか、管理部法務担当の内海 拓人様、高瀬 夏美様にお話を伺いました。

  

  1. 課題
    • インデントや条番号のズレ、表記ゆれの修正など、文書の体裁を整える作業を効率化したい
    • ナレッジの属人化を防ぎ、過去の契約書を検索して再活用したい
  2. 導入
    • 体裁の統一などの作業時間が大きく短縮できることを期待
    • 修正履歴の蓄積や検索性の高さがナレッジマネジメントにも有用だと感じた
  3. 効果
    • 過去の契約書や条文を簡単に検索できるようになり、ゼロからのドラフティングが圧倒的に効率化
    • 体裁補正の自動化など、単純作業の削減効果も実感
    • ミスを見落とす不安や、見つかるかわからない文書を探し続ける精神的負担も軽減

活用のポイント

  • 過去の契約書をLAWGUEに取り込むことで、検索・再利用が可能に
  • 非定型的な契約書をドラフティングする際に、過去の文書や条文をキーワードで検索して切り貼りしながら活用
  • バージョン管理機能を活用し、複数ファイルができてしまうことを防止

体裁を整える作業にかかる時間とナレッジの属人化が課題に

お二人が所属されている部署では、どのような業務を担っているのでしょうか。

内海様:業務内容は、契約書の審査と法務相談がメインです。

契約書の審査は、定型的なものであってもすべて審査をする形式です。

法務相談については、新規事業に関する契約など既存の取引基本契約ではカバーできないケースについて、契約を結ぶための具体的なスキームや、リスクヘッジする方法を事業部と一緒に考え、事業の推進をサポートしています。

具体的には、先に申し上げたような観点を協議した上で、過去の契約書や雛形などを参考にしながら契約書に必要な条文を洗い出したり、どんな文言に落とし込むかを検討したりと進めていくことが多いです。

LAWGUE導入前に感じていた課題はどのようなものですか。

内海様:インデントや表記ゆれなどを整えるところにかなりの時間を取られているというのが大きな課題の一つでした。

またもう一つの大きな課題として、ナレッジマネジメントができていないことがありました。ナレッジの属人化が進んでいて、参考にしたい条文や類似の契約書の参照、過去の修正履歴の確認がうまくいかない部分を解消したいと考えていました。

高瀬様:当時は、過去の契約書を探すには案件名と日付しか手がかりがない状況でした。

ワークフローシステムを導入しており、過去の契約書は蓄積できているのですが、記憶を頼りに件名や日付で検索する必要があり、最終的に必要なものであるかはファイルを開いて内容を見ないとわかりませんでした。

また、「なぜこのような条文の内容になっているのか」を理解するためには修正履歴を確認していく必要があります。しかしながら、修正背景のコメントや履歴が残っているものとそうでないものなどバラバラで、作成者によってやり方が異なるため、他の人が後から確認するのが難しい部分がありました。

単純作業の効率化はもちろん、ナレッジマネジメントにも役立ちそうという期待感を持てた

LAWGUEを導入するにあたり、どのようなことを期待していましたか。

内海様:課題の一つとして感じていた、法務的な知見を要する検討以外の単純作業をLAWGUEのエディタ機能でかなり効率化できるのではないかと思いました。例えば、インデントがずれているところを直すとか、表記ゆれを統一するとか、法務的な問題ではない「書面としてきれいに整える」という作業に時間が取られていたので、業務改善に役立つのではないかという期待が大きかったです。

また、もう一つのナレッジマネジメントに関する課題についても、過去履歴の蓄積や検索性などの機能を聞いた時点で、「課題解決に役立つのではないか」と感じました。というのも、新規事業が増えて契約書をゼロからドラフティングする機会が増えてきていたため、過去の契約書を効率良く参照したいという事情があったからです。

実際にLAWGUEを導入してみて、どのような場面で役立っていますか。

内海様:最も役に立っているのは、既存の雛形等で対応できない非定型的な契約や複雑な契約の際のドラフティングやレビューです。

先にお伝えしたとおり、そういった契約書の作成にあたっては過去の契約書の条文を切り貼りしながら内容を検討していくことが多くあります。使いたい過去の契約書や条文をピンポイントで見つけ出すことができ、さらに並べ替えや切り貼りをするときもエディタとしての機能によって作業をかなり簡単に進められるため、非常に有用だと感じています。

例えば、条文検索の機能を使って「損害賠償」と任意のキーワードを一緒に検索すると、ヒットするものがいくつか出てきます。そこから、数ある損害賠償条項の中で最適なものを見つけ、作成中の契約書にワンクリックで挿入するといった使い方をしています。

条文単位や全文での検索機能や、似た契約書を比較できるところが非常に役立っています。

高瀬様:類似条文のサジェスト機能は、法務関連業務にまだ不慣れな方に有効な機能だと感じています。「キーワード自体何を入れたら良いかわからない」という場合でも、サジェスト機能を使用することによって「こういう条文もあるのだな」と参考にできるかと。 一方、ある程度業務に慣れた者にとっては、検索機能を使用して、キーワードからピンポイントで検索する方が多いという印象です。

煩雑な作業をLAWGUEに任せることで、時間の削減だけでなく精神的負担も軽減

非定型的な契約書をLAWGUEで作成していくときの業務フローを教えてください。

内海様:まず事業を所管する会社/部署から案件について相談を受けます。

その内容をもとにどのような契約を締結すべきなのかをすり合わせ、特に非定型的なもの、個別案件の特徴が強いものなどは我々法務担当がドラフティングのサポートをすることになります。

ドラフティングの際には、LAWGUEで過去の似たような案件を文書単位、条文単位で探し、切り貼りしながら素案を作成していきます。素案をもとに所管部・事業部の担当者なども交えて内容を確認し、問題ないところまでブラッシュアップ。その後、フローに則って審査した上で契約書が完成に至ります。

教えていただいたフローの中でいちばん時間を取られるのはどの部分でしょうか。

内海様:やはりドラフティングの部分です。ゼロからドラフティングする件数は多くはないのですが、新規事業の増加等に伴い、以前よりも確実に増えています。

また、これまでであれば契約書を相手側から提示されることも多かったのですが、スタートアップ企業との取り引きや複数社が関わる契約などが増えてきていることもあり、関係する企業が適切な雛形を持っていないケースも出てきています。

そのような場合に当社が契約書を作成し提示する、という場面が増えてきているのは確かです。

特に役立っていたり、便利に感じている機能はありますか。

内海様:私としては、条項を新たに挿入した際や並び替えた際の条番号の自動変更、体裁の自動補正等のエディタ機能をいちばん使用していて、他に条文検索もよく使っています。

高瀬様:私も同様で、エディタ機能についてはかなり便利に活用しています。

これまで契約書を確認する際には、人の目で一つ一つしらみ潰しに見ていき「ここに7条が2つあるぞ」と修正していく作業がありました。そういう部分をLAWGUEに任せられるのは大変ありがたいです。

また、社内での契約書審査完了~締結に至るまでのフローで考えると、双方で契約書内容のすり合わせをしていく過程でバージョンが増えていきますよね。

修正履歴をつけたままやり取りをするのが一般的だと思いますが、やり取りの回数が増えてくると見にくくなってきますので、交渉途中でも修正履歴を反映することがあります。そうすると見やすくはなるのですが、修正の経緯が分からなくなるので、結局は履歴の残った別ファイルを確認しに行くなどの手間が発生することもあります。3社間、4社間の契約だと、修正を入れる人物が増える分だけこの傾向は顕著です。 LAWGUEを使えば、ファイルが複数できてしまうのではなく、同じファイルとしてバージョン管理ができるので、こういった手間を省くことができ便利だと感じています。各修正の前後を差分比較表として出力して説明時に使用できるところも、非常に有用です。

エディタ機能による細かい作業の効率化、過去事例の検索時間の大幅な短縮を実現

LAWGUEの導入効果を定量的・定性的観点からお聞かせください。

内海様:契約書それぞれで内容が一律ではないため、明確に「1件あたり何分短縮」という形で測定できていませんが、ドラフティングの負担感や参考にしたい過去文書の検索と比較、体裁補正などにかかる作業量は確実に改善できています。体裁補正などの単純作業も、先方から来た雛形などで修正箇所が多いと数十分かかってしまうこともあったので、そういった部分の業務は削減できていますね。

高瀬様:同じく、定量的に一件あたり何分とは言えないのですが、検索の精度も高く、参考にしたい文書へのアクセスが良くなったことで、従来行っていた過去フォルダをひとつひとつ開いて対象の文書を探し続ける作業の時間は格段に減りました。

これに伴って、対象の文書が見つかるかわからない中で探し続ける心理的な負担も減りました。「LAWGUE内にある程度のデータが蓄積されている」という前提があるので、「探しても見つからなければ、ないのだな」と割り切れるようになりました。

ナレッジマネジメントの観点から見てLAWGUEはいかがですか。

内海様:リーガルテック関連のシステムについては継続的に情報収集していますが、ナレッジマネジメントの基盤になるようなツールは他にないと感じています。当社ではワークフローシステムに契約書のデータを蓄積していたものの、検索が使いづらく「必要なときに見つける」ということができていませんでした。

LAWGUEはその点で、修正履歴も含めて蓄積でき、さらに後から「頭の中に浮かんでいるあの契約書」を見つけ出しやすいところがメリットだと思います。

LAWGUEはどのような方におすすめの製品だと思いますか。

内海様:契約書審査の業務は、多くの法務担当者にとって、業務全体の中でもかなりのウェイトを占める重要な作業だと思います。

だからこそ、書式設定や条番号の修正などの法務の知見が関わらない部分には、なるべく時間をかけたくないですよね。だれもが短縮したいと感じる単純作業の部分を自動化できるというのは、会社規模の大小を問わず効率化の効果を感じられると思います。

高瀬様:契約書のバージョン管理についても、Wordで行う場合は、将来的なことを見据えて作業しないと修正経緯を後から見返すのが難しくなりますよね。そういったところも、LAWGUEであればレビュー内容や修正経緯をどんどん蓄積していけるので、人数の多少に関わらず非常に役立つと感じています。

サポート体制についてご意見をお聞かせください。

内海様:こういった新しいシステムを使い始めるときには社内のメンバーに使い方を教えて浸透させていく業務が発生しますが、利用開始時の社内向けの操作説明も全てお任せすることができたので、とてもありがたかったです。手厚くサポートしていただけていると感じています。

今後LAWGUEを活用するにあたり強化していきたい部分はありますか

内海様:データ管理という点において、現状ルール作りがまだできていない部分があります。LAWGUEを使用する・しないもそうですが、担当者個々の属人的な判断によっている部分がまだあるので、統一運用できるようにしたいです。

具体的には、審査済みの契約書のすべてがLAWGUEにアップされているかといえば、必ずしもそうではないですし、タグ付けやフォルダ整理についても模索中であり、全員にルールが浸透していないところが課題かなと感じています。

このあたりの運用ルールをしっかりと決めて、浸透させることで、よりLAWGUEを効果的に活用できるのではないかと考えています。

高瀬様:LAWGUEを含め、テクノロジーを使った業務効率化や業務改善に積極的に取り組んでいきたいです。LAWGUEも生成AIと連携するなど新しい技術を取り入れているかと思いますが、「今まで行っていた作業は、実は技術で代替できるんじゃないか」「その分、人はもっとこういうところを深く考えるべきなんじゃないか」といった視点を持って、活用度を高めていければと考えています。